「まりや……待ってるからね……ずっと………」
「瑞穂ちゃん………大好きだから……ね…………」
最後にさまよった右手同士が、互いの手を見つけると、
きゅっと握り合った。
そしてここからが…本当の気持ちに気づけなかったあたしたちの、
罰ゲームの始まりなんだ―――。

それでも、今この時だけは…
瑞穂ちゃんとひとつになって、とても幸せで…そんなことを考えていたら、
ガタンッ
『あっ!!』
扉の外から物音と、小さな悲鳴が聞こえて…!!
『誰!?』
あたしと瑞穂ちゃんは、同時に扉の方に叫ぶ。
その声の答えは、廊下を走り去っていく足音…
「…誰かに、聞かれちゃったかな…?」
「…そう、だよね…考えてみれば、結構大きな声出してたし…
誰かが不審に思って聞いてても、おかしくないよね…」
お互いに顔を見合わせつつ、困った顔を浮かべる。
「でも、誰だろう…?ひょっとして、僕が男だって言う事も…?」
「…ね、瑞穂ちゃん。この事はあたしに任せてくれないかな?」
「え…?う、うん…でも、何かあったら僕にも頼ってよ?
僕にだって責任の一旦はあるんだから…ね?」
「だいじょーぶだよ。あたしに任せて」
そう笑ってみせた。とりあえず、その日は瑞穂ちゃんを部屋に帰した。
今からじゃ、「犯人」も寝た振りしてるだろうし、ね…


コンコン。
「由佳里…起きてる?」
翌朝早く、あたしは由佳里の部屋の戸を叩いた。すぐに…
「どうぞ」
少し弱々しい声がして、あたしは部屋の中へと入った。
部屋に入ると…由佳里が、ベッドの上に座り込んでいた。
「…その顔だと、一睡もしてないでしょ…?
ダメだよ、女の子なんだから。肌荒れちゃうよ?」
「…………」
「……由佳里でしょ?夜、あたし達の部屋の前に居たの…」
「あ………」
そう。
瑞穂ちゃんはすぐに思い当たらなかったみたいだけれど、あの最後の小さな悲鳴…
それで、あたしは由佳里だってすぐに気付いた。
由佳里はあたしに言い当てられて、赤い顔して俯いている。やっぱり…
「あの、お姉さま…その…ご、ごめんなさい…!!」
「まあ…あれだけ派手にしちゃってれば、ね…気付いちゃうだろうし。
それはあたし達が悪いとは思うよ。うん…あははは…」
後で、冷静になってから自分たちのエッチを思い出したんだけど…
…あたしってば、何かめちゃくちゃ大声出してたような記憶があって。
流石に恥ずかしくてしょうがない…
「で…ごめん、由佳里にずっと黙ってた事…嘘ついてたことがあるんだ…
…聞いてくれる?」
「え…?………はい……」
由佳里は、あたしの真剣な顔に少し戸惑いながら…
それでも、はっきりと頷いてくれた。
だから、あたしは全部を話した…
瑞穂ちゃんが男だって言う事。
瑞穂ちゃんがここへ来た理由…
…全てを、話した…


「……全部…本当の事なんですか…?瑞穂…お姉さまが、男の人だなんて…」
「うん、本当。でも、本人が進んで来たんじゃないよ?
お祖父様の遺言をタテに、無理やりあたしが引き込んだんだ。
だから、瑞穂ちゃんは悪くない…むしろ、全部あたしが悪いんだ。
だから…瑞穂ちゃんを責めないで。責めるなら、あたしを責めて」
「お姉さま……」
あたしは…必死だった。
瑞穂ちゃんの事もあるけれど、由佳里を騙してた事が…辛かった。
大事な妹なのに、その信頼を裏切って騙している…それに気付いたから。
だから、もし由佳里が傷ついたなら、あたしを恨んでくれればいい。
責めればいい。
そうする事で、瑞穂ちゃんと由佳里、二人に対する責任を取れると思ったから…
「あの…お聞きしたい事があるんです…」
「何…?言ってごらん…」
「まりやお姉さまと瑞穂お姉さま…
お二人とも、本当に愛し合っていらっしゃるんですね…?」
「…うん。あたしは、瑞穂ちゃんの事、すごく大好きだし…
瑞穂ちゃんも、あたしの事を愛してくれてるよ…」
「…それが聞ければ十分です。お二人が幸せなら…私は…」
「由佳里…」
「瑞穂お姉さまが男の人だって聞いて、確かにビックリしたけれど…
瑞穂お姉さまは、いつも私たちに優しくしてくださって。
いっぱいいっぱい支えてくれて。
凄く凄く、素敵なお姉さまでした…だから…」
「ありがとう、由佳里…」
あたしは…不覚にも少し涙を浮かべちゃって。
それを見られるのが照れくさくて、ぎゅっと由佳里を抱きしめた。
「それに、まりやお姉さまがお幸せなら…私は…
だって、まりやお姉さまの事、大好きだから。
凄く…大好き、だから…だから…!!」


由佳里は、あたしの胸の中で…泣いていた。そして、わかってしまった。
何故、一晩中起きていたのか。
あたしが瑞穂ちゃんのモノだって、はっきりとわかってしまったから。
何故、あたしの胸で泣いているのか。
本当の意味で、あたしの事が好きだったから…
「ごめんね、由佳里…ありがとう…あたしの事、好きになってくれて」
「…お姉さま…私、ヘンですよね…?気持ち悪いですよね…
だって、だって…私、まりやお姉さまの事が…!!」
「由佳里」
そう一言名前を呼んで…素早く、由佳里の唇を奪った。
由佳里は、最初驚いて…やがてゆっくりと、身体から力が抜けていった。
「…ん、ちゅ………由佳里。ヘンだとか、気持ち悪いとか…
そんな事言っちゃダメだよ」
「あ…お、姉…さま……」
「だって…嬉しいよ?由佳里に、好きだって言われるのってさ。
あたしだって、由佳里の事大好きなんだから」
「お姉さま…!!」
由佳里がぎゅっと抱き返してくる…それが愛しくて。
あたしは心の中で10万回(くらいのつもりで)瑞穂ちゃんに謝って、
「今だけ…由佳里だけのモノになってあげる」
由佳里を…ベッドに押し倒した。
「お姉さま…!!だ、ダメです、お姉さまは瑞穂お姉さまの…!!」
「今この時くらい…許してくれるよ。
それに、女の子同士のスキンシップだから大丈夫大丈夫」
「ス、スキンシップくらいじゃ済んでないと思うんですけど…」
あはは、恥ずかしがってるけど、だいぶ元の調子を取り戻してきたみたいだね。
まあ、とりあえずは良かった良かった…で、終わるわけにゃあいかないよねぇ…
「ほらほら…肌と肌のスキンシップ、しよ。服脱いで〜」
「あ、や、お姉さま…そんな、ダメですよぉ…!!」
「覚悟しちゃいなさいって。あたしも脱ぐからさ…これでおあいこでしょ?」


「そ、そう言われても…んあ…っ!!
お姉さま、ダメ…そんなに、優しく触られたら……」
「だって、由佳里の胸、柔らかいんだもん。
ほらほら、これがええのんか?ええのんか〜?」
「やだ、お姉さま、ヘンな触り方しないで下さいよぉ…」
あたしの攻撃に、由佳里はくすぐったそうに身をよじる。
だいぶ硬さが取れたかな…?それじゃあ…
「それじゃあ…本番。」
「え?…あ、ふぁ……お、お姉さま……あんっ」
「ここ、こうされると…感じるでしょ…?」
「は、はい…あ、んぁ…そ、そのぉ……気持ち、いい…です……んっ」
「そりゃね…同じ女の子同士だから。
どう責めれば気持ち良いかくらい、バッチリ判ってるから…覚悟しなさい」
「…お姉さま…ちょっと、怖いです……あっ、ぁあぁぁぁぁっ!!」
あたしが伸ばした手が、いきなり由佳里の秘裂を擦って…
由佳里は、敏感に反応する。
「あっ…お姉さまぁ……はぁっ、だ、めぇ……背中がぞくぞくしちゃいます……」
「そういえば…由佳里。恋人同士なんだからさ、お姉さま、じゃダメでしょ?
普通に名前で呼ばなきゃ。」
「え…?……あの、…まりや、さん…?」
「はい、良く出来ました…ごほうびあげるね?」
「あぁっ……や、ぁ……っ……ふぁ…そん、なに………いじらないで下さい…」
「由佳里、すっごくエッチな声…やだ、あたしまで興奮してきちゃった…」
「んふぁ…まり、や…さん………
あ、や、ダメ…ですぅ、私、もう…ダメです……」
「良いよ。…あたしが、由佳里のイッちゃうとこ、見ててあげる…」
「やぁっ…そんなの、恥ずかしい……ですぅ…
あっ、だめぇ、まりやさん……まりやさん………!!…っぁ、あぁぁぁぁぁぁっ!!」
由佳里が、びくっびくっと身体を震わせて…イッちゃった。


赤く染まったその顔は、なんかすごく可愛くて…ちょっぴり、本気で惚れかけたり…
…って言っても、別に遊びじゃなくて、本気でしたんだけど、ね。
「由佳里の事大好きなのは、ホントだから。」
それだけ、口にした。
…って、我ながら気障な事言ってるなぁ。でも由佳里、嬉しそうだし。
瑞穂ちゃんがたま〜に気障な事言う気持ち、ちょっとわかったかも。
ま、結論としては…瑞穂ちゃん、ゴメン……
「まりや、さん…」
「なあに?由佳里」
「最後に、お願い一つして、良いですか…?」
「何かしらお嬢さん?どうぞ何なりと…」
「…最後に、キス…してください…」
「…OK」
最後にキスして…短い恋人の関係は、終わった。
これが、本当に由佳里の為によかったのか、わかんない。
あるいは、より一層由佳里を苦しめちゃうかもしれない。
でも、後悔はしてない…と、思う。
由佳里は、確かにこうなる事を望んでいたって。そう思うから…

その後、一応学校だから一眠りさせて…起きたら、いつもの由佳里だった。
一言、「ありがとうございます、お姉さま」って笑顔で言ってくれて…
あたしは、自分の選択が正しかったんだろう、と思う事が出来た。
後は……………瑞穂ちゃんに、なんて言おう…
最後の最後に、大きな問題が立ちはだかった気がする…
でもまあ、いっか。瑞穂ちゃんなら笑って許してくれる…

と、いいなぁ…(はぁ…)


終わり

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