色々視点(w :○○と書いてる人の視点でお話は進みます。瑞穂ちゃんの誕生日にうpするSSがこれですぜ、旦那?もう、俺の計画性のなさも筋金入りだね。

GWの過ごし方(5月5日こどもの日)
:貴子
駅前の噴水前においてある小さなベンチ、それに腰を下ろし五月晴れの空をぼんやりと見上げた。あぁ・・・良い天気、暑い一日になりそうですわね・・・
日向ぼっこをするためにこんな所にきているわけではない。瑞穂さんとデートをするためにここで待ち合わせをしているだけ。
別に、瑞穂さんと私、どちらにも余計な予定は入っているわけではないし、ご近所の目を気にしているわけでもない・・・あっ、一昨日のドンチャン騒ぎは多少ご近所の目を気にしたほうがいいかも・・・でも、それとは直接関係ない。
だったら、玄関から一緒に出てくれば良い・・・というのは当然の意見だとは思います。が、たまには外で待ち合わせという物もしても良いじゃありませんか!?(←逆ギレ)
折角待ち合わせをするのに、一緒に玄関を出るのは意味がないので、瑞穂さんを置き去りにして、先に出てきたのですが・・・ナンパの対応というのも面倒ですわね。ナンパする前に鏡と成績表を見直してから来てください。
「よぉ、ねーちゃん、サテンでチャーでもしばかへん?」
いまどき、こんなコテコテのエセ関西弁でナンパする男性なんて・・・
「まりやさん・・・」
だけではなく、いつもの3人も背後に控えている。もう、勘弁してください。たまにはデートくらいさせてくれてもいいんじゃないんですか?本当に・・・泣いて駄々をこねますよ?そのうち。
「何をなさってるんですか?お一人で」
ベンチに座っている私を、4人が見下ろすような感じになった。なんだか、尋問されている気分ですわね。
「デートです、瑞穂さんと・・・」
聞いてきたのが紫苑さまじゃなきゃ、誤魔化すか逃げるかする所なんですけど・・・
「でしたら、邪魔しては悪いのですよ」
この4人の中で奏さんが一番、常識的だと思う。紫苑さまも実は悪乗りな所ありますし、由佳里さんは時々まりや病を発症するし、まりやさんはもう・・・
「ええ、そうですね」
「ンじゃぁ、瑞穂ちゃんによろしく♪」
「失礼します、貴子お姉さま」

一言ずつ声をかけて去って行く4人。ワイワイと談笑しながら去って幾4人の背中を見つめながら、私は軽く首をひねって、空をもう一度見上げた。雲ひとつない晴天・・・降水確率は0%でしたわよね、今日。

:まりや
なーんてね。邪魔はしないわよ、邪魔は。ただ・・・
「生暖かく見守るだけですよね、お姉さま」
うんうん、由佳里もようやく私の計画を読み取れるまでに成長したわね。入学から1年、私が卒業してからさらに2年、弄り続けた甲斐があったというものだ。
「あっ悪趣味なのですよ、まりやお姉さま、由佳里ちゃんも・・・」
「じゃぁ、奏ちゃんは帰る?」
「こういうのも後学の為、という物ですよ。奏ちゃん」
「どうせ帰っても暇なんだしさ」
一緒に貴子の初体験を聞き守っていたくらいなのだから、奏ちゃんだって興味がないわけではない。
興味がないわけではない所に、3人に矢継ぎ早に攻め立てられ、帰ってしまえる子じゃない。
別に今日は最初から、貴子のデートを冷やかすつもりだったわけではない。ただ、折角のGWだし、家に居ても仕方がないということで、皆を呼び出して町に繰り出した。で、たまたま貴子を見つけたから軽く声をかけた・・・それだけの話。
まあ、直接付いていくわけでもないし、邪魔をする気も毛頭ないんだから、別にいいわよね。
っと、瑞穂ちゃんが来た。時間は11時5分前って事は、待ち合わせは11時って所かな?5分前に到着とは瑞穂ちゃんも気が利いてるわね。
そう言えば、瑞穂ちゃんって、初デートでラーメン屋に連れて行ったらしいわね。連れて行く男も男だけど、それで喜ぶ女も女よね・・・
談笑しながら歩く二人、その30メートルほど後ろを付いて歩く。長身の瑞穂ちゃん、明るい栗毛の貴子、人通りの多い商店街を歩いていても目立ってくれる。しかし・・・
「一見女性二人がウィンドショッピングを楽しんでるみたいですね」
紫苑さまがそうつぶやくと、私を含めたほかの三人が盛大に頷く。ローカルな駅前商店街だからいいようなものの、もうちょっと都心であの二人が歩いてたら、ナンパ男を追い払うのが大変に違いない。
「あの二人、どこに行くのかな?」
11時を少し回ったくらいだから、多分、何処かでご飯かな。
:瑞穂
貴子さんを連れて、暖かくなり始めた商店街を歩く。そろそろお昼の時間なんですけど・・・
「お昼、どうします?」
「そうですわね。いつも喫茶店もそろそろ飽きましたわね」
声をかけると貴子さんは立ち止まって、少し考えるようなそぶりをして見せた。
この商店街に来るたびに利用している喫茶店は、恵泉を卒業して以来良く利用しているので、メニューはとっくに全品制覇してしまっている。第一、その喫茶店は商店街の入り口近くにあるのだから、少し引き返す必要がある。
何か新しいお店でも・・・
「あぁ、そういえば、同じ学部の友達が美味しいパスタ屋が出来たって言ってましたよ」
彼が言うにはそこそこに美味しく、値段も手ごろらしい。
「でしたら、そこに行きましょう」
そう言うと、貴子さんは僕の腕に自分の腕を絡めてきた。その顔はトマトのように真っ赤になっている。恥ずかしいのならしなければ良いのに、と思うけど、こう言う所がこの人の可愛い所なんだとも思う。
さて、パスタ屋さん、混雑してなければいいんですけどね。

:紫苑
お二人が立ち止まってなにやら話している。それを30メートルほど離れた所から観察中。傍目には変な女性の集団に見えるかもしれませんわね。
こうして、お二人を少し離れたところから見守っていると、娘を嫁に出す気分ですわ。
「どちらが娘なんですか?紫苑さま」
「それはもちろん、瑞穂さんに決まってますわ」
私とまりやさんがそう言うと、他の方が楽しそうに笑い声を上げた。
「そんなことを言うと、お姉さまがかわいそうなのですよ」
という奏さんの顔も笑っていらっしゃいますよ。それに奏さんも卒業以来2年も経つのに、未だにお姉さま扱いです。人のことは言えません。
そうこうしているうちに二人が腕を組んで歩き始めた。貴子さんは遠目からでも判るほど、顔を赤くしていますわね。腕を組むくらいで赤面なさると、それ以上の事をなさる時が少し心配になってきますわね。
お昼はどこで食べる事にしたのでしょう?今月は新しい服やら、瑞穂さんの誕生日プレゼントやら、パーティのお酒代やらで、少々お財布の中が心もとないのですけど・・・
そんなことを考えていると、お二人は先日オープンしたばかりで、まだ、店頭に花輪が飾られているお店に入っていった。このお店・・・

「紫苑お姉さま、どうかされたのですか?」
思わず足が止まってしまった私に、すぐ後ろを歩いていた由佳里さんが声をかけてくれた。
「このお店、美味しくありませんのよ」
値段は安く、量は多くて、店舗の雰囲気も非常によいのですが、味が今ひとつ。決定的にまずいと言うわけではなく、何かが足りないと言いますか・・・何が足りないのでしょう?と考えながら食べていると、気が付くと全て食べ終わっているという不思議なお店。
「えぇ〜おいしくないんですか?紫苑さま」
私の言葉にまりやさんがあわてた様子で声でそういう。
「美味しくはありませんね、まずいというわけでもありませんけど」
「じゃぁ、お二人を止めるのですよ」
と言って、走り出しそうになる奏さんの襟首をつかみます。奏さん、私たちが何をしているか、お忘れですか?
「しっ紫苑お姉さま、首、首が絞まってるの・・・ですよ・・・」
あら、失礼しました。
「でも、ここで諦めたら『瑞穂ちゃんと貴子のデートを優しく見守ろう』作戦が中断してしまうわね」
お二人が食事が終わるまで、ここでボーっと突っ立っているのも馬鹿な話ですしね。このお店を見ながら時間を潰せるようなお店はありませんし。
「仕方ないですね。できるだけ安い物を我慢して食べて出てきましょう」
由佳里さんの提案に諦めたような顔のまりやさんが頷く。
そこまでして、お二人のデートを見守る必要があるのでしょうか?と言う事を考えたら、負けのような気がするので考えないようにしましょう。

:奏
本当に美味しくない店なのですよ。奏はカルボナーラを食べたのですが、何処か微妙に美味しくない。何が悪いのかと考えながら食べていると、全部食べ終わってしまってたのですよ。
他の3人も同じような感じだったので、もしかしたら、それが狙いなのかもしれないのですよ。
でも、本当にまりやお姉さまも紫苑お姉さまも由佳里ちゃんも、人が悪いのですよ。貴子お姉さまとお姉さまのデートを覗く必要があるのですか?
少し離れた所で食事を取っている貴子お姉さまの顔も、露骨に曇り始めたのですよ。
少し怒ったような顔でお姉さまに何かを言っています。ここからだと瑞穂お姉さまの顔も見えないし、お二人の声も聞こえないのが残念なのですよ。

「奏ちゃんもさっきから瑞穂ちゃんのほうをずっと見てるわね」
まりやお姉さまが人の悪い顔をしてそう言ってきました。べっ別に奏はお姉さまたちのことが気になるわけでも・・・あぅ、気になるのですよ。
「うんうん、3人仲良く、お姉さまたちの初体験を聞き守ってた仲だもんね、私たちは」
由佳里ちゃんまで・・・それを思い出すと、奏は恥ずかしくなるのですよ。
「私も瑞穂さんと貴子さんの初体験を聞き守りたかったですわね」
紫苑お姉さままで・・・もしかして、お姉さまたちってちょっぴり不幸なのかもしれないのですよ。
あっ、お二人が席を立たれたのですよ!お二人はお店の奥の席、奏たちは入り口の席、お二人がお店から出るのでしたら、見つかるかもしれないのですよ。
奏たちはこそこそと顔を俯け、お二人と視線が合わないようにします。どきどき・・・早くお会計を済ませて出て行ってくださいなのですよ。
「あっ、ここは僕が払いますよ」
「そうですか?ご馳走様、瑞穂さん」
お二人の話し声が聞こえるという事は、お二人はすぐ近くにいるのですよ。顔を上げたら見つかってしまうかも・・・
「ありがとうございました」
ウェイトレスさんの声が聞こえ、直後に自動ドアが開閉する音が聞こえる。
「「「「はぁ・・・」」」」
顔を上げ、4人が一斉に大きな溜息を漏らした。どきどきしたのですよ。心臓に悪いのですよ、もう、諦めて寮に帰って、ウルトラ世界一周人生劇場DXでもするのですよ!波乱万丈な人生を味わえるボードゲームは楽しいですよ!
「ほらほら、早くでないと、見失うわよ」
まりやお姉さま、襟首を引っ張らないで下さいなのですよ、首が絞まるのですよ〜〜〜

:由佳里
で・・・美味しくないパスタ屋さんの次はこの映画か・・・
瑞穂お姉さまと貴子お姉さまが一軒の映画館に楽しそうに入って行くのを見た私は、思わずげんなりとしてしまった。
テレビでは毎日のようにCMが流れ、興行成績No1とか、全米が泣いたとかって言っている映画だけど・・・
先週、陸上部の子達と一緒に見に来たのよね、これ。15分経った所で皆寝ちゃってた。
全米が泣いたのは、退屈であくびのし過ぎで涙がこぼれただけに決まってる。
「そんなにつまらない映画なのですか?」

奏ちゃん、何でそんなに嬉しそうなわけ?つまらないって言ってるのよ?
「つまらない映画は、どこがつまらないかを考えながら見るのが楽しいですよ」
そんな器用な楽しみ方を進められても・・・
「まあまあ、視もしてない映画をつまらないと決め付けるのは良くありませんわ」
「だから、紫苑さま、私は見たんですってば」
「15分以降は見てらっしゃらないのでしょう?」
そ・・・それは屁理屈という物です。
「大丈夫よ、ユカリン、私たちが視に来てるのは、映画じゃなくて、瑞穂ちゃんと貴子だから」
「ユカリン、言わないで下さい!」
「薄暗い場所、退屈な映画、相手は恋人同士、もしかしたら、映画以上に楽しい事が視れるかもしれませんよ」
さぁ、入りましょう!
そして、30分後。案の定というか、やっぱりというか・・・
「くーーー」
「すぅ・・・すぅ・・・」
お互いの頭を、お互いに枕にして寝る二人・・・私たちはそれを3つ後ろの列からぼんやりと見ている。
いや、奏ちゃんだけは食い入るようにつまらない映画を見続けている。
はぁ・・・やっと終わった・・・って、まだ、寝てるわ、あの二人。二人が寝ているので、出て行くわけにも行かない。
「ずいぶんと、熱心に見てたわね。奏ちゃん」
「ええ、もう、凄かったのですよ。無駄にお金だけは掛かっていそうなSFX、何処かで見たような演出、ハリウッドの方程式そのままに入ってくる無意味なラブシーン、大活躍の米軍
絶対に続編なんか作られるはずがないのに、次回作へ繋げようとしているラストシーンの哀れっぷり、もう、最高のだめ映画なのですよ」
さすが演劇部部長、視る所が違うというか・・・嫌な所ばっかり見てるわね。
「しかし、お二人が起きないと、私たちも帰れませんわね・・・」
お手洗いに行っていた紫苑お姉さまが帰ってきた。映画以上に面白そうな事なんて起きそうにないじゃないですか・・・
つまらない映画と気持ちよさそうに寝てる二人を、2時間も見せられた所為で、お二人に対して理不尽な怒りが湧き上がってくる。
「あっ、2回目が始まったのですよ」
だから、奏ちゃん、何がそんなに楽しいわけ?この映画。それでも、映画以上に楽しい事への期待で席を立てない自分自身が可愛いと思う。

:貴子
ふわぁ〜良く寝ましたわ・・・ばたばたと忙しいゴールデンウィークにあんなつまらない映画を見せられたのでは、寝るなというほうが無理ですわね。
「本当につまらない映画でしたね」
瑞穂さんも同じく熟睡していた。
「映画の前評判と言うのは、全く当てにならないものですわね」
クスクスと笑いながら、日の暮れ掛かった商店街を腕を組んで歩く。食事も今ひとつ、映画はつまらない、それでも楽しいデートであった事は間違いない。一緒に出かけるということが何よりも楽しい事ですから・・・負け惜しみじゃありませんよ?
待ち合わせからはじめたデートでしたけど、帰りは一緒に。
「まっすぐ帰るには少し早い時間ですわね・・・」
かと言って、何かをして帰るには少しだけ遅い。どうしましょうか・・・
「公園で少し時間を潰して帰りますか?」
商店街を抜け、鏑木家のある住宅街に入ってすぐの所にある小さな公園。昼のうちはご近所の奥様達の井戸端会議の場所になっている。この時間帯は、そろそろ家に帰ろうとする小学生くらいしか居ないはず。
あら、今日は子供達もいませんわね。ゴールデンウィークだからでしょうか?逆にたくさん居そうな気がしたのですが・・・
誰も居ない公園の古びたベンチ。そこに二人並んで腰を下ろす。
少し遠回りして、おしゃべりをしながらここまで来たおかげで、もう、話をする事はろくに残っては居ない。
ただ、二人でベンチに腰を下ろし、遠くの山に落ちる夕日を見ていた。
私たちは、どちらかともなく、指先を触れ合わせ、指を絡め、そして、手を握り締めあった・・・
そして、二人で向かい合って・・・そっと唇を・・・
「押さないで下さいなのですよ」
「ちょっと奏ちゃん、そこに居たら見えないってば」
「ここからが良い所なのに〜〜」
「静かにしないと、ばれてしまいますわよ」
・・・あぁ・・・貴女達は何をなさってるんですか?
ガサガサとゆれる植え込み。聞いた事のある話し声。もしかして、ずーーーーーーっと、付いてた訳ですか?
「「「「あははは・・・こんばんは」」」」」
そこまで罰の悪い顔をするんなら、覗き見なんか止めてください!!!!
(おしまい)


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