「あら、紫苑さま…瑞穂さんも」
「まぁ、貴子さん…お久しぶりですわ」
「本当ですね。卒業式以来ですわ」
「ふふっ。瑞穂さんったら、まだエルダーのおつもりでいらっしゃって?」
「う、あ、…ははは、なかなか抜けなくて…」
「家でもたまにこうですの。楽しくて仕方ありませんわ」
「し、紫苑…ばらさないでよ。気にしてるんだから」
「あらあら、それもあなたの良いところですわ」
「お二人とも、昼間からごちそうさまです、全く…あてられてしまいますわ」
「うー、紫苑も貴子さんも、それぐらいで勘弁してください…へこみます、さすがに…」
「嫌ですわあなた。私はもっと楽しみますわよ。ふふふっ」
「キリがありませんわね…。お二人とも、これからは?」
「あ、今日は丁度予備校が午前中だけで。紫苑とお昼を…。貴子さんは?」
「私も今日は講義が午前中だけで。宜しければランチでもご一緒に…あ、お邪魔ですわね?」
「そんなこと御座いませんわ。二人だけのお昼なら、いつでも…ねぇ、あなた?」
「紫苑、そ、それぐらいで勘弁…。あ、さ、さぁ行きましょう、たた貴子さん!あははは」
「食べる前にお腹一杯ですわ、もう。…参りましょうか。どちらに致します?」
「へい、らっしゃい!…お、こりゃまたベッピンさんばかり三人も」
「…ぼ、僕、男の子…はは…はぁ」
「あなた、諦めが悪いですわ。そろそろ慣れてくださらないと…さぁ貴子さんも、お入りになって」
「え、えぇ…。ここは、何の、お店ですの…?」
「何って…お蕎麦やさんだけど…まさか、貴子さん…」
「…えぇ、初めて来ましたわ…こういうところですの…」
「あはは、やっぱり…。大丈夫ですよ。前に一緒にラーメン食べに来たじゃないですか。安心してください」
「…前に、貴子さんと、一緒に…? あなた…?」
「え!?いい、いや違うんだよ紫苑!学院時代に二人で映画を……はっ!?」
「……後で、覚えてらっしゃい、あなた…ふふふ」
「ううううぅぅぅぅ〜〜…」
「…はぁ、もう帰ろうかしら…」
「ま、待ってください!貴子さん!!じゃないと殺され、いやお蕎麦おいしいですから!食べましょう!」
「今日は…何でお仕置きしようかしら…ふふふっ」
「…紫苑んんぅぅ〜〜…」
「…犬も喰わぬとは、正にこのことですわね…」
「毎度っ!なんにいたしやしょう!?」
「いろいろありますわね…。初めてだから、何が良いのかしら…」
「あ、貴子さん。このお店、鴨南蛮が美味しいですよ」
「…かも、なん、ばん…?」
「暖かいお蕎麦に、鴨肉やつくねが入ってますの。おいしいわよ。」
「つ、くね…? まぁいいですわ、私も厳島を捨て一人立ちしましたし、何事も挑戦ですわ」
「そ、そんなおおげさな…。」
「ふふ、私も貴子さんにお付き合いいたしましょうか。あなたは?」
「うーん、今日はカツ丼にしようっと」
「か、かつ、どん…?」
「今日の貴子さん、ハテナマークばっかりだね。来てからのお楽しみにしましょうか」
「ふふ、鴨南蛮とカツ丼と貴子さん…楽しみですわ…」
「は、はは…紫苑…ちょっと怖いよ…」
「何か仰いまして、あなた?」
「な、なんでもない!断じて無い!」
「へいお待ちっ!まずは鴨南二丁ね!」
「これが、かもなんばん…。あぁ、でもいい匂いがしますわ」
「あ、二人とも先に食べていいよ」
「じゃぁあなた、お言葉に甘えて…。さぁ、貴子さんもどうぞ」
「え、えぇ、いただきます…。えぇと…」
「えっとね、ラーメンの時みたいに、好きに食べて大丈夫ですよ」
「ラーメンの時、ね…あなた、今日は肝が据わってらしてね」
「っはっ!さささ、どどんどんたっ食べて!あははは」
「本当にもう…つきあってたらお蕎麦が伸びてしまいますわ。…ちゅる…」
「…どうですか?」
「ぁ…、美味しいですわ…。鴨の風味がお口に広がって…」
「このつくねも美味しいのよ。鴨のお肉を、叩いて丸めて揚げてあるんですわ」
「えぇ、ふんわりして、とっても…」
「良かった、喜んで貰えて。…僕のはまだかなぁ…」
「お待たせしやした!こちらカツ丼ね!」
「あ、来た来た…。そうだ、すみませ〜ん、小皿貰えますか〜?」
「これ…は、また…、大仰な食べ物ですわね…」
「うーん、た、確かに見た目は変わってますけど…おいしいんですよ? あ、小皿有り難う御座います…貴子さん、食べてみて下さい」
「え、あ、いただきます…。これは……太いカツレツ?」
「そ、そんなところかな…。ドミグラスソースの変わりに、タマネギと卵を一緒に出汁でとじてあるんですよ」
「なるほど…、これも変わってますけど、美味しいですわ」
「ふふ、今日の貴子さんは楽しそうですね」
「えぇ、それはもう…未知との遭遇ですわ」
「あはは、良かった良かった」
「…………あなた………?(ぴきっ)」
「っひぃっ!?あ、し、紫苑もたた、食べる!?」
「…ふふ、頂きますわ……今日は…きつくお仕置き…」
「ひぃぃぃっっっ!!??あ、ああ、しし紫苑んんのののかもっっなんもぉぉ食べったいなぁなんてねあははははは」
「あら…ふふふ………嫌です……ムチでいこうかしら…」
「ぃぅっ!?し、しに、たくない、ぃぃ…」
「…結婚って、大変なのね……ふぅ…」
「毎度ありがとっやっしたー!」
「…ふう、今日は食べ過ぎましたわ。でもおもしろくて…また来たいですわ」
「は、はは…よかったですね…」
「では、私はこれで…。紫苑さま、今日は優しくしてあげてくださいね」
「あら、私はいつも優しいですわ。ふふ…ごきげんよう、貴子さん」
「ご、ごき、げんよ、う…たか、こ、さん……」
「瑞穂さんも、お大事に…ごきげんよう」



「さて………あなた??」
「はいぃ!ごめんなさい!!」
「あらあら、謝ると言うことは、自覚がお有りなんですのね…ふふ」
「え!?いやその、悪くない!やましくないです!映画でデートしたなんて…っ、ぁ」
「…………木馬つきでムチかしら……ふふふふっ」
「まま待って!これにはその、ふふ深いわけがが」
「深い方がいいのね…とっておきの木馬にしましょう…さぁ帰りましょう あ な た ??  ふふふふふふふふふふふふ」
「ぃぃい嫌ああぁぁぁ〜〜〜〜………」



Fin





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