瑞穂ちゃん、お誕生日おめでとうございます。

というわけで記念SS。
相変わらずまりやエピローグ後です。

まりやの服装から、帰国が6〜7月と仮定しました。
すなわち留学から7年後のお話です。



『瑞穂ちゃんのばあすでい狂詩曲』



「瑞穂ちゃん、お誕生日おめでと〜!」
「おめでとうございます、瑞穂さん。」
「おめでとうございますなのですよ〜。」
「瑞穂お姉さま、おめでとうございます。」
「瑞穂さん、おめでとうございます。」

「ありがとうございます、みんな。」


―――5月12日。僕の25歳の誕生日。

今日の誕生パーティーは、僕にとって特別で、今までで一番楽しいものになると思う。
・・・何故なら・・・7年ぶりにまりやが居るから。

まりやが留学している間の僕の誕生パーティーは、ぽっかりと大きな穴が開いたような、感じだった。
誕生会毎に、まりやが僕にとってどれだけ大切な存在であるかということを再認し、罪の重さを思い知らされた。

・・・元々は家族+αだけの小さなパーティーだったけれど、
紫苑さんや貴子さん、奏ちゃんに由佳里ちゃんと、年々メンバーは増えて、賑やかにはなった。
・・・でも、その黒い穴が埋まることはなくて・・・。


―――だから、今年の誕生会はとても嬉しい。今から始まるところだけれど、なんだかとても幸せな気分でいっぱいだ。

「おめでとうございます、瑞穂さま。」
「おめでとう、瑞穂。ふむ、お前も四捨五入すると三十路か・・・。」

どよ〜〜〜〜〜〜ん・・・

急激に空気が暗くなった。

「ど、どうしたね?」
「ぼ、僕、み、三十路・・・うぅ・・・。」
「三十路・・・そうですわね、私ももう四捨五入で三十路なのですわね・・・」
「あたしは後一ヶ月か・・・」
「私は、あと半年ですわ・・・」
「わ、私たちはまだ大丈夫よね、奏ちゃんっ!」
「そっ、そうなのですよ〜。奏たちはまだまだ若いのですよ〜。」
「甘いわよ〜、ふたりとも・・・。2年なんてあっという間なんだから・・・」
「「まりやお姉さまぁ〜・・・」」

「む・・・。なんだ、この沈んだ空気は・・・?」
「慶行さま、女性に年齢の話は禁句ですわ。」

・・・父様、いきなりテンションを下げてくださってありがとうございます・・・
・・・ついでに楓さん、僕も女性の枠の中なんですか、そうなんですか・・・


・・・
・・・
「ん、コホン。それでは気を取り直しまして。かんぱ〜いっ!」
「「「「「「「かんぱ〜い!」」」」」」」

グラスがぶつかる音が響く。心の中の嬉しさも相まってか、とてもいい音色に聞こえる。

「ごくごく・・・ぷはあ〜。五臓六腑に染み渡るわねぇ〜。」
「まりや、そのおじさんくさい言い回しやめなよ・・・」
「ふふ。でもおいしいですわね。・・・あら、貴子さんは飲まれないのですか?」
「え・・・ええ。私はお酒に弱いものですから、もう少ししてからにしますわ。」
「由佳里ちゃん、いいのみっぷりなのですよ〜。」
「そういう奏ちゃんももう空じゃない。ほら、もっと飲んで飲んで〜。」
「・・・うむ。やはり皆で飲むというのはいいものだな・・・。しかもこう綺麗どころが集まっているわけだしな。」
「慶行さま、お注ぎいたしますわ。」

・・・ちょっと、賑やかすぎかも。

「瑞穂お姉さま、早速ですけど、私からのお誕生日プレゼントを受け取ってください!」
「ホントにいきなりだね、由佳里ちゃん。何だろう?」
「私からのプレゼントは、コレです!」

といって、由佳里ちゃんは手を広げてテーブルの上の蓋がしてある器を示す。つまり・・・


「なるほど、今日の料理は由佳里ちゃんが作ったのね。」
「そうなんです!私が一番自信を持ってプレゼントできるのって、やっぱり料理ですから。
 でも、ちょっと楓さんに悪いことをしてしまったかもしれないです。」
「ふふっ。今年は私のお仕事、由佳里さまに半分取られてしまいました。」
「楓さんの料理も美味しいけれど、かのご高名な料理研究家ゆかりん様の料理を食べられるなんて光栄ですなぁ。」
「その云い方はどうかと思いますが・・・。ですが確かに由佳里さんの料理は楽しみですわね。」
「ま、まりやお姉さま・・・貴子お姉さままで・・・」
「由佳里ちゃんはとっても料理が上手なのですよ。奏、あこがれてしまうのですよ〜。」
「ふふ。ホントに楽しみね。それじゃ、由佳里ちゃんのプレゼント、冷めないうちに頂きましょう。」
「瑞穂お姉さま、どうぞ召し上がってくださいっ!」

僕に一番近いお皿の蓋を開けた。

「これは・・・イタリアンハンバーグかな?ふふっ、由佳里ちゃんらしいね?」
「はいっ。自信作ですっ!」


「瑞穂お姉さま、こっちは和風ハンバーグなのですよ〜。きのこがたっぷりで美味しそうなのですよ〜。」
「ありがとう、奏ちゃん!」

「こっちは普通のハンバーグ・・・ね・・・。」
「ふふふ、まりやお姉さま。ただのハンバーグじゃないですよ?中身は秘密ですけど。」

「これは揚げ物、ですわね。中身はなんですか?」
「それはハンバーグカツです、紫苑お姉さま。一度ハンバーグとして焼いてから、カラっと揚げました!」

「・・・これは何かしら・・・?」
「それは、キーマカレーの逆の、カレー風味ハンバーグです!」

・・・
・・・

「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

「・・・あれ、みんなどうして黙っちゃうんですか・・・?」
「ねぇ、楓さん。」
「なんでしょう、まりやさま?」
「・・・楓さんが半分作ってくれて助かったわ。」

テーブルの上には料理がたくさん並んでいる。その内、半分が・・・きっとハンバーグでできていた・・・



「・・・で、でも、これだけいっぱいハンバーグの種類があるなんて驚きなのですよ〜・・・?」
「そ、そうですわね。さすがは料理研究家ですわ?」
「お、おいしそうだね。さ、さあ、冷めないうちにいただきましょう?」

「・・・なんでみなさん疑問系でしゃべるんですか・・・?っていうかなんで私と目を合わせてくれないんですかっ!?」

「由佳里。はっきりいうけど、こんなハンバーグずくしで喜ぶのは由佳里だけよ・・・。」
「え・・・っ!?な、なんでですかっ!?ハンバーグですよっ!?
 こんなにいろんな種類のハンバーグ食べられるなんて、ゴクラクジョウドじゃないですかっ!!」

(((((((・・・・・・)))))))

「どうしてみんなでそんな憐れんだ視線を向けてくるんですかぁ〜〜〜〜!!」


・・・
・・・
「うぃ〜・・・なんですかなんですか・・・っ・・・ひっく。ふんだ。いいですよいいですよ〜だ。ぐびぐび。
 みなさんはハンバーグより海藻のほうがいいっていうんですか・・・っ!?てめぇらの血は何色だ〜・・・ひっく・・・。」

由佳里ちゃんが部屋の隅っこでやさぐれている。両手にワインの瓶を持って。
・・・ねぇ、由佳里ちゃん。まりやじゃないんだからワインをラッパ飲みするのは女の子としてどうなのかな・・・?

「・・・失礼ね、瑞穂ちゃん。あたしだってそんなコトしないわよ。」

・・・まりや、人の心を読むのやめて・・・


まぁ、せっかく頑張って作ってくれた僕へのプレゼントなんだから、ね。

「それじゃ、いただきます。」
目の前の、イタリアンハンバーグの一片を口に運んだ。

「・・・」
「ど、どうしたのですか、お姉さま。急に黙ってしまって・・・」
「びっくり。ハンバーグの固さも、チーズとソースとお肉のバランスも絶妙で・・・すごくおいしい。こんなハンバーグ食べたの初めて。」
「へぇ。瑞穂ちゃんがそこまで絶賛するなんてねぇ。どれどれ・・・。ん・・・!ほんとだ。」

みんなも一斉に由佳里ちゃん作のハンバーグを口に運んだ。そして賞賛の嵐。

「由佳里が料理研究家だっていうの、ホントだったのねぇ。びっくりだわ、ホントに。」
「こんなに上品なハンバーグを食べたのは初めてですわ。」
「本当ですわね。好きこそ物の上手なれ、とはよく云ったものですわね。」
「うむ。これは店に出してもおかしくはないな。上岡さんにひとつレストランでも任せてみるのも面白そうだ。」
「ふふっ・・・ハンバーグに関しては負けましたわ、由佳里さま。今度作り方教えていただこうかしら。」
「ほら、由佳里ちゃん。みんな由佳里ちゃんのハンバーグとても美味しいって。そんなところでいつまでも拗ねてないで、ね?」
「ひっく・・・う・・・ええ・・・瑞穂お姉さまぁ・・・。」

由佳里ちゃんは僕に抱きついてきた。
「あっ、と・・・こらこら・・・」
「やっぱりお姉さまは優しいです・・・」
「・・・僕がオトコだっていうこと、由佳里ちゃん忘れてるでしょ・・・。はぁ・・・。でもね、由佳里ちゃん。」
「はい?なんですか、ひっく。お姉さま・・・?」

「「「「「「「少しは限度というものを考えなさい」」」」」」」

「うぅ・・・ぐびぐび。いいですよ、いいですよ〜・・・ひっく。」
あ、またやさぐれた・・・


・・・
・・・
食事も終わりが近づき・・・
「さて、フライングが一名出ましたけど、瑞穂ちゃんへのプレゼントタイム〜!!」

ワインの空瓶を抱きかかえながら寝ている由佳里ちゃんを尻目に、みんなが歓声をあげた。・・・いいのかな・・・?

「では、私と奏ちゃんからは、これをプレゼントいたしますわ。」

そういって、紫苑さんは僕に封筒を渡した。
「・・・これは・・・?空けてよろしいですか?」
「ええ、是非。」
「・・・えーと・・・。『鏑木孤児院演劇部貸切券』・・・?」
「はいなのですよ〜。当孤児院の一番の出資者な社長さんに日頃の感謝を込めて、みんなで少しでも恩返ししたいのですよ〜。」
「そ、そんな恩返しなんて・・・気にしないでいいのに・・・」
「ふふふ、みんな本当に瑞穂さんには感謝しているのですよ。それに、孤児院では瑞穂さんは大人気ですのよ?」
「え・・・?そうなんですか?」
「ええ。『綺麗で格好いいお姉さま』としてみなさんに慕われているのですから。」
「お・・・お姉さま・・・。確か女装して孤児院に訪れたことは無い気がするのですけれど・・・。」
「うふふふふ・・・?」
「し、紫苑さ〜ん・・・」

  _, - ,ヘ
  TL |_ ) ←紫苑         _,.'⌒ 
   `レ>〈            '´  `ヽ  
  ⊂イノ)           /  j ))ソ  ←瑞穂
    ゝ、ノニ7        / / / /ノ
    _〉{          ノノノノj{_)
      ̄      . __,,,... --´θ^θン)u    -- ...,,,__


「みなさんにも是非見てほしいのですよ〜」
「いいの、奏ちゃん?」
「もちろんなのですよ〜。まりやお姉さまにも、会長さんにも、総裁さんにもお世話になってますから、是非見てくださいなのですよ〜。」
「ふむ。総裁さん、か。そういう呼び方をされたのははじめてだな。」
「は、はややっ。奏、失礼なことをいってしまったのですよ〜。」
「いやいや、別に気にする必要はないぞ。そう呼んでくれてかまわんよ?それで、劇の内容はどういったものなのかね?
 ああ、秘密なら云う必要はないのだがね。」
「え〜とですね。とある高校に転校してきていきなりミスキャンパスに選ばれてしまった女の子のお話なのですよ〜。」
「ほうほう。」
「そしてその女の子の周りで起きる事件を通してたくさんの生徒にいい影響を与えていくという心温まるお話なのですよ。」
「・・・ね、ねぇ、奏ちゃん・・・それって・・・」
「そうなのです。実は瑞穂お姉さまがモチーフなのですよ〜。
 子供たちは男の子も多いので、女子校という舞台にはできなかったのですけど・・・。」
「そ、そうなんだ・・・」
「お姉さまは奏の支えになってくれたのですよ・・・。もしお姉さまがいらっしゃらなかったら、今の奏はいないのですよ・・・。
 だから、感謝の気持ちを込めて、こういう題材にしたのですよ・・・。」
「奏ちゃん・・・。」
「私も、瑞穂さんにはとてもお世話になりましたわ。留年した私が、楽しい学園生活を送れたのも、
 今こうして平穏な生活を送れるのも、こうして・・・」

ぎゅむっ。

「はややっ・・・」
「奏ちゃんをぎゅっとできるのも、瑞穂さんのおかげですわ・・・。私も、劇では微力ながらお手伝いをいたしますわ。」
「紫苑さん・・・。」
「お姉さま、見ていただけますか・・・?」
「・・・ええ、もちろん。楽しみにしてるからね、奏ちゃん。」
「はいなのですっ!」


「う〜ん。なんだかいい話だけど、ちょっとしんみりしちゃったわね。」
「ふふ。いいではないですか。これも瑞穂さんの人徳ですわね。・・・私も瑞穂さんに影響を受けたひとりですし。」
「ていうかここに居る全員が瑞穂ちゃんに影響を受けた人間でしょ。」
「そうですわね・・・。・・・瑞穂さんはホントにすごい方ですわね・・・。」
「・・・うん。ホント、瑞穂ちゃんて・・・あたしの自慢の彼氏だよ・・・。」

「で、奏ちゃん。ひとつ聞きたいんだけど、いいかな?」
「なんですか、お姉さま?」
「舞台が共学の学校なのに、なんで僕役が女の子、なのかな?」
「えっとぉ・・・。お姉さま、ご質問の意図がよくわからないのですよ〜。」
「・・・ねぇ、奏ちゃん。僕の性別はなに?」

奏ちゃんは額に指を当てて考え込む・・・。っていうか考え込まなきゃ出てこないの?
「・・・はやや!?奏、勘違いしてたのですよ〜。」
「か、奏ちゃん・・・思い出してくれた?」
「はいなのです。でも、お姉さまには性別なんて関係ないのですよ。お姉さまはお姉さまなのですよ〜。」
「・・・え゛・・・?」
「ふふ・・・。瑞穂さんはいつまでも奏ちゃんの理想のお姉さまですものね?」
「そのとおりなのです!もちろん紫苑お姉さまも尊敬していますけど、奏は妹としていつまでも姉を追い続けていきますのですよ。」
「あらあら。私、少し妬けてしまいますわね?」
「・・・いつまでもお姉さま・・・うぅ・・・orz」
「にははっ。可愛い妹にここまで言われるなんて、瑞穂ちゃんてば幸せ者だねぇ?」
「あ、ちなみにですね。劇では主役の女の子の恋人で、デザイナーを目指す男の子が出てくるのですよ〜。」
「・・・え・・・。男の、子・・・?な、な、なんでよっ!」
「瑞穂さんが女の子ですからね。まりやさんが男の子でないと、教育上よろしくありませんわ?」
「し、紫苑さま・・・だからって・・・」
「それに、どちらかといえばまりやお姉さまのほうがオトコの方らしいのですよ〜。」

_| ̄|○  ○| ̄|_


「あら?おふたりが落ち込んでしまいましたわね。」
「はやや?奏、何かいけないことを云ってしまったですか〜?!」
「・・・まぁ、まりやさんと女装させた瑞穂さんを並ばせて、どちらが男性ですかとアンケートとった場合、恐らくは・・・」
「まて、貴子。それ以上云わなくていい・・・」
「奏さまに悪気がない分、ダメージが大きいのでしょうね。」
「・・・うーむ。確かに瑞穂の場合は、男として格好いいというより女として格好いいという印象だからな。本当に幸穂そっくりだ。」
「僕って・・・僕って・・・うぅ・・・」

・・・
・・・
「・・・さて・・・。次は誰が渡すよ・・・?」
あきらかにテンションが下がったまりやと、今日の主役であるはずの僕。そしてお構いなしのみんなに、熟睡中の由佳里ちゃん。

「それでは私が・・・どうぞ、瑞穂さん。気に入って頂けたら幸いですわ。」
貴子さんは細長い、綺麗にラッピングされた箱を差し出してきた。
「これは・・・開けてよろしいですか?」
「ええ、どうぞ。」

入っていたのは、銀製のネックレスだった。
「瑞穂さんは自分のネックレスをお持ちでないようでしたので・・・。よさそうなものを選んだつもりなのですが、いかがですか?」
「へぇ〜。結構いいデザインじゃない。あたしの元で修行しただけのことはあるわね、我が弟子よ。」
「誰が弟子ですか、誰がっ!?・・・まぁ確かに見る目はついたのは間違いないですが・・・。」
「本当に綺麗なデザインですね。でも、貴子さん・・・。」
「なんでしょう、瑞穂さん。」
「これ、女性向けですよね・・・?」
「あ・・・。ええと・・・。・・・今日は夜空が綺麗ですわね・・・。」
「どうして目を背けるんですか・・・」
「・・・ごめんなさい、瑞穂さん・・・。」
「一体なんで謝るんですかっ!?」


さらにズタボロにされた、まいはーと。あはは、僕って男だよね?ね?・・・だんだん自信がなくなってきた・・・うぅ・・・

「さて。では次は俺と楓からのプレゼントだ。」
「・・・な、なんですか・・・?」
「何故そう怯えてるんだ?せっかくロマネ・コンティを用意したのに。」
「え・・・ろ、ロマネ・コンティって・・・あの?」
「そうだ、あのロマネ・コンティだ。」
「あの、ろまね・こんてぃって、なんですか・・・?」
「・・・超高級ワインですわ・・・。最低でも50万円はすると言われる・・・」
「1990年の稀少品です。慶行さまに金は気にしないでいいからうまいワインを用意してくれと言われましたので。」
「・・・まさか本当に気にしないとは思わなかったがな。領収書見たら2本で250万とかだったぞ。」

「「「「「に、にひゃくごじゅうまんっ?!」」」」」

「と、父様・・・質素倹約は何処にいったんですか・・・?」
「まあ、たまにはいいじゃないか。久々に誕生日を待ち望んでいたようだったからな、瑞穂は。
 俺もそんな瑞穂を見て、嬉しかったからな。たまには奮発させろ。」
「父様・・・。」

と、父様は耳元に近づいてきて、

(まりやちゃんのことなんだろ?・・・お前たちを見ていると、昔の俺を幸穂を思い出すよ・・・。若いのはいいことだな。)
(と、父様・・・判ってたんですか・・・?)
(ふむ・・・。ま、よかったじゃぁないか、純粋に誕生日を喜べる日が戻ってきて。それに、まりやちゃんが居るのは俺も嬉しいしな。)
(父様、ありがとうございます・・・。)

「さて、みんなで飲もうじゃないか。遠慮はいらんぞ・・・というほどの量はないがな。楓、用意を。」


「あの、慶行さま・・・。」
「む、どうした楓?」
「そこにおいておいたロマネ・コンティが無いのですが・・・」
「何・・・?」

・・・
・・・

・・・はっ!ま・・・まさか・・・っ!

僕は由佳里ちゃんのほうを振り向いた。


          _ '⌒
        , ´/二`ヾ⌒
      ,ヘノ ,ノ从从)ゝ  <ぐぅぐぅ・・・
    (にi__ 〈ヒつ 〜从つ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ねぇ、まりや・・・。」
「・・・わかったわ。」

まりや は ゆかり を しらべた。

ろまね・こんてぃのあきびん を てにいれた!
ろまね・こんてぃのあきびん を てにいれた!

まりや は ろまね・こんてぃのあきびん を つかった!
しかし なにもおこらなかった!


「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

・・・静寂って、耳が痛いんだ・・・
それに、空気が冷たい。とても冷たい。・・・北極とか南極よりもきっと、冷たい。

「ぐぅぐぅ・・・すぴ〜。」
「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」

そしてその静寂の中に響く寝息。



    くねくね  _ '⌒
        , ´/二`ヾ⌒
     (ヽ,ヘ.i ,ノ从从)ゝ ))
((  ⊂i__ 〈ヒ∩゙∀∩ゝ ああ、いや〜ん おねえさまぁ〜♪


・・・ねぇ、由佳里ちゃん。いまどんなユメを見てるのかな・・・?もしかするとずっとユメのなかにいたほうがいいのかもしれないね・・・
ていうかおねえさまってどっちの?

「・・・ふむ。彼女は確か重工のほうの社員だったかな。」
「あの、父様・・・。由佳里ちゃんも悪気があったわけじゃないですから・・・」
「わかっておる。・・・瑞穂、後で今月の給与明細、楽しみに、と云っておいてくれ。」
「・・・」

可哀想な由佳里ちゃん・・・


・・・
・・・
「んじゃ、トリはあたしからのプレゼントだね。ちょっと待っててね。」

といって、まりやは隣の部屋に行ってしまった。

「まりやさんのプレゼントって、なんでしょうね?」
「そうですわね・・・まりやさんのことですから、何か洋服なのでしょうね。・・・ドレスとか?」
「・・・デフォルトがドレスなんですか・・・」
「奏は、きっと体にリボンを巻きつけて・・・とかだと思うのですよ〜。」
「奏ちゃん、私の誕生日の時は、奏ちゃんがそうしてくださいね?ちゃんとお持ち帰りしますから。」
「し、紫苑お姉さま、なんだか眼が怖いのですよ〜・・・」

「お待たせ〜!」

戻ってきたまりやが持っていたのは、スーツ(男物だよ?)だった。

「わあ、凄く格好いいのですよ〜。」
「ほんとうですわね。色使いも模様使いも、とても素敵ですわ。」
「・・・まりやさん、貴女はデザインに関してはほんとうに凄い人間ですわね。」
「に関しては、っていうのにはちょっと引っかかるけど・・・。ねぇ、瑞穂ちゃん、どう?」
「・・・着てみて、いいかな?」
「にははっ。気に入ってくれたみたいだね。もちろんっ!隣に小物とか中に着るのとか置いてあるから、自由に使ってね。」
「ん、ありがと。準備万全だね。」

僕はそのスーツを受け取って、隣の部屋に向かった。


「ふーむ。確かに素晴らしいな。男の服までデザインできるとはな。天才とはまさにこのことだな。」
「え、そんな、誉めすぎです、お義父様。瑞穂ちゃんのためだから出来るんですよ〜。」
「くくく・・・。瑞穂は幸せ者だな。」
「でも、驚きですわね。まりやさんが男物もデザインできるなんて。」
「ん〜。男物は瑞穂ちゃん用に何着かデザインしたことがあるくらいなんだけどね。
 瑞穂ちゃん用以外の男物はデザインできるかわかんないなぁ。・・・あ、出てきた。」

「ど、どうかな・・・?」
「瑞穂ちゃん、カッコいい・・・!惚れ直しちゃうよ。にははっ、あたしがデザインした服着てくれてるから嬉しさも倍増だね。」
「あ、はは。ありがとう、まりや。」
「格好いいのですよ・・・」
「ほんとう、服と瑞穂さんが一心同体になっているようで、素敵ですわ・・・。」
「そうですわね・・・。服のデザインだけでもよかったのに、瑞穂さんが着るとさらに素晴らしいものになりますわね・・・
 もちろん瑞穂さんの美しさも負けずと引き立っていますわ。」
「素敵です、瑞穂さま。」
「あ、ありがとうございます、みんな・・・」

「「「「本当に男装もお似合いです。宝塚の俳優のようです。」」」」
「・・・幸穂の男装・・・これはこれでいいなぁ・・・」

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「だ、男装・・・僕、男なんです、男なんですってば・・・っ!お、男なんです、よね・・・?!うぅ・・・」


・・・
・・・
パーティーが終わって・・・夜の黒色も随分と深くなって・・・僕たちは部屋に戻ってきた。

「瑞穂ちゃん、お疲れさま。にははっ、賑やかで楽しかったね?」
「うん、楽しくはあったけど・・・。」
「ん?どったの?」
「ねぇ、まりや・・・僕、オトコだよね・・・?」
「にははっ。今日は瑞穂ちゃんのオトコとしてのプライド、ずたぼろにされちゃったね?」
「うぅ・・・」
「大丈夫だよ、瑞穂ちゃん。あたしにとっては瑞穂ちゃんは立派なオトコのコなんだから。」
「まりや・・・ありがと。」
「う〜ん。当たり前のこと云ってるのに、お礼云われるのって、どうなんだろうね・・・?」

「さて。瑞穂ちゃん。もうひとつプレゼントがあるんだけど。」
「え、何?」

すると、まりやはイキナリ服を脱ぎだした。



「え・・・っ、ちょっとまりや、なにを・・・」
「あはは。身も心も、あたしはとっくの昔に瑞穂ちゃんだけのものだから、プレゼントっていうのはヘンかもしれないけど、王道だよね?」

そこには、下着の代わりに器用にリボンを巻きつけたまりやが居た。

「いやぁ、まさか奏ちゃんに当てられちゃうとは思わなかったけど・・・。きゃっ」

僕は、まりやを強く抱きしめた。

「まりや・・・本当に、ありがとう。」
「え、瑞穂ちゃん・・・?」
「帰ってきてくれて・・・、僕のものになってくれて、ありがとう、まりや・・・。僕にとっては、一番のプレゼントだよ・・・。」
「み、瑞穂ちゃん・・・。にはは、あたしも改めてお礼いわなくちゃね。
 待っていてくれて・・・、あたしのものになってくれて、ありがとう、瑞穂ちゃん・・・。」
「まりや・・・」
「瑞穂ちゃん・・・」

自然に、ふたりの顔が近づいて・・・口付けをした・・・。そして、お互いに強く抱きしめあった・・・。

・・・
・・・
まりやをベッドに寝かせて・・・

「ん・・・瑞穂ちゃん・・・。今日は、瑞穂ちゃんのスキにして、いいから・・・ね?」
「ふふ、いつもスキにしてるけど・・・?」
「う、う〜ん、まあそうなんだけど・・・。」
「それじゃ、リボン取るよ・・・?」
「うん・・・」

僕はまりやのリボンに手をかけて・・・


ガタンッ
(きゃあっ)

「「!!!」」

扉の外から大きな音と、声が聞こえてきた。

「瑞穂ちゃんっ!」
「うん、わかってる。」

まりやに毛布を渡して、僕は扉に向かい、おもいっきり開けた。

「あ・・・。こ、こんばんは、瑞穂お姉さま・・・」
「・・・きゅぅ〜・・・」

「・・・」

そこには、気絶している貴子さんと、その貴子さんに覆いかぶさられて身動きが取れなくなっている由佳里ちゃんの姿が。
廊下を見ると、紫苑さんと奏ちゃん、それに父様と楓さんの後姿が。・・・早い。逃げ遅れたものなど眼中にないみたい。

「で、どうしてここにいるのかな、由佳里ちゃん?」
「え・・・いえ、それは、その、ですね・・・」


「ゆ・か・り・ん♪」
「・・・ひっ・・・ぃ・・・!」

由佳里ちゃんはまりやの声を聞いて、まるで幽霊の怨嗟を聞いたかのような表情を浮かべた。

「ふふふ・・・ヒトの愛の儀式を邪魔するなんて、いい度胸ね・・・ゆかりん?」
「ひ・・・お、お許しください、まりやお姉さま・・・っ!」
「うぬの所業、許すわけにはいかぬ・・・!覚悟はいいか、ゆ〜か〜り〜ん〜〜〜!?」
「ひっ、ひいいぃぃぃ〜〜〜、た、助けてください、瑞穂お姉さま〜!」
「『だが断る』。っていうか今まりやの邪魔したら僕も危ないし。」
「そ、そんなぁ〜〜〜・・・」
「お〜か〜し〜て〜や〜る〜っ!」
「きゃああああああ〜〜〜!」


・・・
・・・


―――

「ん・・・」
貴子は目を覚ました。
「・・・? どういうこと、ですか・・・?」
それにも関わらず、あたりは真っ暗なままである。そして、ぼんやりとした意識の中で、あることに気がついた。
「っ!! な、どういうことですか・・・!」
貴子は先程と同じ言葉を、強い口調で発した。何故なら、目隠しされ手を縛られていることに気がついたからである。
そして、視覚が遮られているため自然と敏感になる聴覚に、ある人物の声が聞こえてきた・・・

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。ま、まりやお姉さま・・・も、もう許してください・・・もう、十分罰は受けました・・・だから、助けて・・・」
「くっくく・・・まだよ、まだまだ終わらないわよ・・・。」
「そ・・・そんな・・・。あっ・・・ひぁっ!ひゃあっ!・・・や、やめて・・・許して・・・これ以上されたら、死んじゃいます・・・」

「・・・っ! な、何をしているんですか、まりやさん!おやめなさいっ!」
貴子は由佳里の苦しげな声を聞いて、正義感からか無意識のうちに叫んでいた。

「おやぁ・・・もう一人の覗き見重罪人が起きられたようですなぁ?由佳里、よかったわね。少しの休憩時間ができて・・・」
「あ・・・ぁ・・・」
「く・・・っ!何をするつもりか知りませんが、貴女に罰を受けるようなまねをしたつもりはありません!」
「ほお〜。覗き見常習犯がよくそんなセリフ云えるわねぇ?」
「?!」
「まぁ、観念しなさい。由佳里とふたりで、朝までガマンすれば許してあげるから・・・!」
「ひ・・・っ、な、何を・・・っ!」
「あ、そっか。目隠ししといたんだっけ。・・・でも、聞こえてたんなら何をされるかわかってるんじゃないの・・・?」
ぎしり。貴子はまりやが近づいてくる気配を感じ取った・・・。
「あ・・・、い、イヤ・・・助けて・・・」
「くくくくく・・・」


「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!」
「くっくっくっ、社長室長は面白い笑い声を上げなさるのですなぁっ。」
「や、ま、まりやさん、止めて・・・ひゃっ、あははあはひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「あ〜、面白い。そっかあ、貴子は脇腹が弱いのか〜。くひひっ」
「や、止めて・・・く、苦しいっ、ひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ、だ、ダメです・・・っ、あきゃあっ!」
「うりうり〜、どうだぁ〜?」
「ひ、た、助けて・・・ひゃっ、ひゃははははははっ!・・・く、くるし・・・くひゃひゃははっ!」
「さあて、こっちはどうかな〜。」

まりやは羽ペンを取り出して、足の裏をくすぐった。

「ひゃぁうっ!ちょ・・・っ」
「ほれほれ〜」
「ひぁっ、っく、きゃあっ、や、止めなさい、止めて、まりやさんっ!」
「止めないよ〜。朝になるか、あたしが飽きるまで止めないよ〜。くっひひっ!」
「ひ・・・あひひひひひゃひゃはは・・・、た、たすけ・・・ひゃはははあははははっ!」


・・・
・・・
結局、まりやによる夜中くすぐりまくりの刑は朝まで続き、由佳里と貴子は妙な場所の筋肉痛により3日間有給ととる羽目になったとか・・・



―――さらに二週間弱が過ぎ・・・

「なっ、なんですかぁ〜〜〜!なんで給与明細にまいなすとか書いてあるんですかぁあぁ〜〜〜!」


・・・合掌。





あとがき。

えーと・・・(汗
あらためて、瑞穂ちゃんお誕生日おめでとうございます。そして苛めてごめんなさいw

由佳里ちゃん、出番あげたらこんな役目になってしまいました・・・
ごめんね、由佳里ちゃん。

なんか書いているうちに登場人物が勝手に動き出して、どんどん長くなってしまいました・・・


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