貴子ED 卒業した年(大学1年)の10月頭、学祭。瑞穂視点>>550-552のあたりと直接繋がってるわけではありませんが、先にそちらを読むとより楽しめるかもしれません。瑞穂が不幸なのは>>554-558あたりの方々の責任、漏れは悪くない(爆

>学祭当日。某イベント開催中
僕はほぼ半年振りに恵泉女学院の制服を着ている。しかも、大学のキャンバスのど真ん中に作られたステージの袖で・・・もちろん、数分後にはあのステージに上がる事になる
ステージの上には大学の学祭ではお決まり過ぎる「ミスキャンバスコンテスト」の大きな看板。
15分ほど前、その看板の上に大きな「女装」という張り紙が張られた。
すでに数人の在学生が女装してステージの上がった。そのたびに起きる大爆笑と野次。あの大爆笑と野次の中に飛び込むのかと考えると、こう、お腹の辺りがキューっと痛くなる。
「貴子さん・・・やっぱり、帰ってはいけませんか?」
諸悪の根源・・・じゃなくて、生徒自治会主催「女装ミスキャンバス」の担当者厳島貴子女史に声をかけた。
「いまさら何を言ってるんですか?私としても、結果的に瑞穂さんを騙す事になったのは非常に心苦しいのですが・・・」
目に涙を浮かべるほど笑ってるくせに・・・どこが心苦しいんですか?
「まあ・・・あの面子ですからね・・・」
と、彼女はステージの方へと視線を向けた。
ステージの上には、ボディビル愛好会の会員がピチピチのビキニとヅラをつけ、冗談のような厚化粧をしてポージングしている。
確かその前は、体操部数人がレオタードを着て、新体操をやっていたように思う。
僕も自分が参加者の一人じゃなきゃ、楽しく笑ってみてただろうけど、今の状況では笑えない。
どうしてこうなったんだろう?あれは・・・

>学祭前日。昼休み
午前の授業が終わり、僕と貴子さんの二人は学内のカフェテラスで昼食を取っていた。
「学祭のイベント、ですか?」
和定食に箸をつけながら、僕は貴子さんの言葉を聞き返した。
「はい、自治会主催のイベントですわ。ほんの少しだけ手を貸していただきたいのですが・・・」
彼女は大学でも自治会に参加し、色々と忙しく活動していた。
特にサークル活動にも参加していない僕は、そんな彼女をとてもまぶしく見ていたので、つい、二つ返事で・・・
「いいですよ。アルバイトがあるので、あまり、長時間の拘束は困りますが・・・」
ちなみに大学に入って以来、僕は父から「お小遣い」というものを貰っていない。だから、多少でもバイトをしないとデートの費用も捻出できない。まあ、アルバイトはアルバイトで楽しいから、不服はないのだけど。
「ええ、もちろんです。ほんの30分ほど、居て下さるだけで十分ですから。
でも、快く引き受けてくださって、嬉しいですわ。ありがとうございます。瑞穂さん」
それくらいの事で、貴子さんの嬉しそうな笑顔を見れるのなら、お安い御用です。
「楽しいイベントになるといいですね。」
「ええ、きっと楽しいベントになるはずですわ。」
可愛らしい笑みを浮かべる。でも、今考えるとそれは悪魔の微笑だったんですよね・・・いたいけな子羊を罠にかけた・・・

>学祭当日、イベント30分前
僕は前日言われた時間に貴子さんに指定された一室に来ていた。
講義のない大学祭の小さな教室。パンフレットを読む限り、ここで行われるイベントはないはずなんだけど・・・
ドアに手をかけると鍵は掛かっていない様子。貴子さんが開けたのかな?
「貴子さん・・・居ますか?」
薄暗い教室、大学祭のにぎやかな声がやけに遠く聞こえて、そこはかとない不安感が湧き上がってくる。
「居ないんですか?」
「もちろん、居ますよ。瑞穂さん」
閉められたカーテンから漏れる光に、貴子さんの栗色の髪が照らし出される。
悪の組織の女幹部、そういう言葉がふと頭の隅に浮かんだ。
「こんな所に呼び出して・・・どうしたのですか?」
反射的に部屋に入ると、背後でドアが乱暴に閉じられる音がした。
「えっ?」
振り返るとそこには・・・
「まっ・・・まりや!それに紫苑さんまで!」
そこには僕の親友とも言える二人の女友達がたっていた。
「ふふぅん、久しぶりね?瑞穂ちゃん」
「お久しぶりです、瑞穂さん」
恐ろしいコンビネーションでドアを閉め、その鍵を閉めてしまった二人が笑顔で挨拶をする。
「私がお呼びしたんです。少し・・・私一人では手に余りそうな気がしましたので・・・」
薄暗い教室の中で、僅かに微笑む姿は・・・やっぱり、悪の組織の女幹部。
その女幹部が優雅に指を鳴らすと、二人の親友たちに僕は両手を押さえ込まれてしまった。
「ちょ・・・ちょっと、僕、急用を思い出したから。西域に大妖怪蘇生実験阻止に・・・」
「そのネタは私が使いましたから」
ゆっくりと女幹部が近づいてくる。手には紙袋が1つ。その一つから覗くものは・・・
「恵泉の制服なんか持ち出して、何をする気なんですか!」
両手に力を入れるが、まりやはともかく、紫苑さんの腕を力任せに振りほどくのはためらわれる。
「あっ、今、失礼な事考えたわね。瑞穂ちゃん。紫苑さま!」
「はい、失礼しますね」
紫苑さんは僕の背後に移動すると、がっちりと両腕をホールドしてしまう。
あっ、胸が・・・結構、大きい。
「恋人の前で、他の人の胸の感触に悦ばないでくださいますか?」
今、その恋人との付き合い方を考え直してる所です。
「瑞穂さん、あまり暴れないでください。私、体が弱いので・・・」
体が弱い人は、男を背後から取り押さえたりしません。って言うか、耳に息を吹きかけるのは止めて下さい。
「30分ほど居てくれるだけで良いんじゃないんですか?貴子さん」
「ええ、ですから、『女装して』30分ほど『参加して』居てくれるだけで十分です」
『女装』とか『参加して』とかって言う言葉が増えてるって・・・紙袋から恵泉の夏服を取り出してにじり寄ってくる貴子さん。
「参加って、何ですか!?」
「そりゃ、もちろん、女装ミスキャンパスよ、瑞穂ちゃん」
僕の問いに横からまりやが答える。知らなかったのは僕だけですか?そうですか?
「何で二人が貴子さんに協力してるんですか?」
まりやと貴子さんは犬猿の仲だったし、紫苑さんもあまり仲が良かったとは・・・
「そりゃもう、こんな楽しい事に参加できるんなら、貴子とも協力するわよ〜」
と、けらけらと笑いながら、僕の着ている服を脱がしていくまりや。
「私は、婚約の破談に協力してくれるというので・・・」
えっ?婚約なんて始めて聞きましたが・・・
「はい、瑞穂さんのお父上にも協力していただけるよう話は付いてます。瑞穂さんの女装生写真1枚で」
紫苑さんの言葉に孝子さんが補足する。
女装した僕が母様にそっくりだからって、息子の写真1枚でそんな約束をしやがりましたか?あの父親は
「はっ・・・謀ったなっ!シャ○」
「貴方は良い恋人ですが、貴方のお父上が悪いのですよ」
「悪い父親はどっちかというと貴子さんの方・・・」
まあ・・・僕の父親もろくなもんじゃありませんが・・・orz
「大きなお世話です」
きっぱりと言い切る悪の女幹部。

それから僕は女性3人にもみくちゃにされながら、なつかしの恵泉の制服に身を包まれた・・・
途中、紫苑さんの胸に反応した愚息を貴子さんに見つかって、泣かれそうになったり。
紫苑さんのウェストがまりやよりも細い事が発覚して、まりやが凹んだり。
紫苑さんが久しぶりに僕のパット入り胸を揉んで、悦に入ったり・・・と、色々な事件があったのだが、その辺は詳しく思い出したくない。

>女装ミスキャンパス開催中。瑞穂オンステージ5秒前
「ボディビル愛好会有志の方々でした。続きまして、1年無所属鏑木瑞穂さん!」
女装ボディビルダーたちが万雷の拍手とともにステージを降りる。そして、いよいよ僕の番。
「や、やっぱり帰る!」
あわてて逃げようとする僕の背中を、貴子さんが思いっきり突き飛ばす。
僕はそのままたたらを踏んで、ステージの中心へと躍り出てします。
わきあがる大爆笑と野次を予想し、首をすくめる。
しかし、先ほどまでの野次や爆笑は一切起きない。針が落ちても判るような静寂がステージの周りを包み込む。

「えっ?」
1年弱のエルダー生活で染み付いた微笑を浮かべ、乱れた裾を直して、軽く頭を下げる。
「おぉぉぉぉぉ!!!!!!」
地響きのような歓声。
「お姉さま!!」という本物の女子大生の声や「瑞穂、付き合ってくれ!!」という学友たちの声が聞こえる。
爆笑は歓声、野次は声援に取り変わり、僕の耳に痛いほど届いた。
あはは・・・もう、笑うしかないや・・・
来年の学祭には来ないでおこう・・・。

PS,という僕の固い決意は学祭のたびに破られ、僕は「4年連続女装ミスキャンバスを獲った男」という全く嬉しくない伝説を母校に残した
PS,その2。翌年の普通の「ミスキャンバス」に危うくノミネートされる所だった・・・嫌過ぎる・・・

 

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